長野ワイン徒然記

日本全国100箇所以上のワイナリー訪問歴のあるソムリエが、長野のワイン産地やワインメーカーについて色々書くブログです。

龍眼と甲州

山梨といえば甲州

(栽培自体は山梨県外でも)

 

では長野は? と聞かれた時に

「龍眼」と答えた方、

最高ですー♪

 

実は甲州と龍眼て

見た目も味わいも

どことなく似ている。

甲州と龍眼の写真

左:甲州 右:龍眼

 

今回はその違いに着目しながら

龍眼という品種について

考察してみようと思います!

 

 

●まずは龍眼について

龍眼、

またの名を

善光寺ぶどう」

 

甲州やゲヴュルツなどと同じく

果皮はほんのりピンクがかった

グリ系?品種。

(もちろん、 あまり熟していないと緑色)

 

日本への葡萄伝来ネタでは

よくある話ですが、

龍眼もはるか昔、

シルクロードからやってきた品種。

(諸説あり)

 

絶滅寸前の状態だったところ、

1970年代にマンズワインが蘇らせたそう。

 

ワインとしては

和の柑橘系や甘い白い花の香り、

吟醸酒のような風味に

キリッとした酸が特徴です。

 

●龍眼と甲州の類似点

・生食用醸造用兼用品種

生食用、

今はもっと美味しい品種が

沢山あるので

あんまり食べないかな。

 

・仕立て

どちらも比較的樹勢が強いので

棚仕立てが一般的。

 

しかし、近年は

垣根にチャレンジする生産者が

いることも類似点。

 

甲州は実績が出てますが

龍眼はこれから、カナ?

 

・実の見た目

房はどちらも大きい。

(龍眼>甲州)

 

果皮の色は熟す前は緑。

熟すにつれ

薄ピンク色が現れるのも一緒。

 

吟醸酒のニュアンス

一昔前に一般的だった

甲州の味と同じ、

吟醸酒のようなニュアンスが

龍眼にもあります

 

●龍眼と甲州の違うところ

・栽培場所

甲州は国内外で

広く栽培されています。

 

一方龍眼は、

長野県外で栽培されているのを

私は聞いたことがありません。

 

だからこそ、

「長野県といえば龍眼」

を推していきたいなぁ。

 

・ワインの種類

メルシャンのラインナップを見れば

甲州の多様さはよくわかる。

だいたい日本の甲州

こんな感じ↓

 

・泡

・昔ながらの吟醸香が主張するもの

・きいろ香のような柑橘系

・グリド甲州(醸し)

・日本酒酵母発酵

・残糖感があるもの(古酒に多い)

など。

 

一方龍眼は

・泡

・残糖感があるもの(補糖感…?)

・スティル辛口(醸し含む)

くらい?

 

もうちょっと香りや味わいに

多様性が生まれるといいなぁー。

 

・合う料理

甲州は海の幸山の幸、

結構幅広く合う。

 

それは、先述した

ワインの種類が幅広いことが

理由の一つかも。

(生牡蠣×きいろ香は感動したなぁ)

 

一方、龍眼は

海の幸はなかなか難しい。

 

数年前、

沓掛酒造の嫁、姫ちゃんに

寿司に合う日本酒を聞いた時、

 

「長野って海無し県だからか、

なかなか生魚に合う日本酒て

少ないんだよねー」と。

 

龍眼もそんな感じかも。

海アリ県で育てられた龍眼なら

生魚に合ったりするかな…?

 

●龍眼に期待すること

私の希望は、

甲州きいろ香のように

垢抜けた味わいの龍眼!

 

きいろ香みたいに

ボルドー液の量減らせば出るかな?

とか思うけど、どうなんだろ?

 

(今週末、メルシャンの

小林さんのセミナーあるから

聞いてみよ!)

 

垣根栽培も増えてきたけど、

それだけでは

樹勢の強い龍眼は暴れる?

 

昔、グレイスの彩奈さんが

垣根にするだけじゃなくて、

高畝や灌水設備はマスト、と

言ってたような…。

(甲州の場合)

 

栽培や醸造などは、

まずは甲州のアレコレを

試してみても良いのでは、と

思ったりもします。

 

そして大事なのは、

栽培&醸造技術の成功例が

広く共有されるかどうか。

 

かつてメルシャンの

甲州きいろ香が生まれた時、

周りの生産者にも

広く知識を付与したらしい。

 

それが、

甲州種の醸造技術の底上げ、

更には、

OIV登録品種にも繋がった

と言われています。

 

しかし龍眼の場合は、

良いワインができても

それなりの見返りを受けないことも

予想される。

 

甲州より圧倒的に認知度が低いし

長野県内でもそこまで

愛着を持たれていない…。

 

まずはマニアな皆様に

注目してもらわないとですね!

(美味しかった場合に限る)

 

コンシェルジュであり

マニアな私としても、

誰よりも先に発掘し

広く発信したいと思います!

 

●おすすめの龍眼のワイン

マンズワイン 酵母の泡 龍眼

マンズワインの酵母の泡 龍眼の写真

 

ソラリス醸造責任者

西畑徹平氏が発見した酵母の泡。

 

甲州は全国どこでも買えますが

龍眼は長野県内限定。

 

マンズさんの場合、

契約栽培者の高齢化が進んでいますが、

もうひと踏ん張り!

 

頑張って続けてほしいという

期待もこめて!

 

はすみふぁーむ 龍眼 2021

はすみふぁーむの龍眼2021の写真



先日のSNSの投稿でも

絶賛しましたが、

コレは良い!

 

垢抜けつつある柑橘系の香り

綺麗な酸と程よくある旨味、

良いです!

 

是非皆様お試しください!

 

以上、

はすみさんの龍眼を飲みながら

ダラダラと考えたお話でした。